医療用医薬品の将来予測 

2014年06月27日
矢野経済研究所は、国内製薬市場の調査を実施した。

【調査結果サマリー】

◆2021年の医療用医薬品生産高を12兆7,707億円(ケースⅡ)と予測
ケースⅠは、医療制度改革が医薬品需要に多大な影響を及ぼし、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の数量ベースシェアが2018年頃までに60%に達し、市場は新薬かジェネリック医薬品かという構造を持つことを想定して算出した。その結果、医療用医薬品生産高(輸入品を含む)は2014年が9兆5,421億円、2017年が10兆1,061億円、2021年には10兆6,172億円になると予測する。

一方、ケースⅡでは、医薬品需要の底固さと、結果的に穏やかに推移する医療制度改革を加味し、抗がん剤や糖尿病治療薬など高齢者社会において多くの患者が必要とする医薬品が順調に売上を伸ばすとともに、新薬創出加算制度が一定程度寄与し市場を下支えするとして算出した。その結果、医療用医薬品生産高(輸入品を含む)は2014年が10兆918億円、2017年が11兆2,407億円、2021年が12兆7,707億円になると予測する。

◆シェアを拡大できない新薬を持つ製薬企業は、早めの経営判断を求められる
2014年4月の薬価改定において、市場拡大再算定が適用された対象医薬品とともに、同等の薬理作用を持つ類似薬に対しても同様に薬価が引き下げられた。上位に位置する製品を持つ製薬企業は一定のシェアを確保していることなどから、薬価を引き下げられても今後も売上の伸びが期待できる。だが、後発で上市した新薬を持ち、思うようにシェアを拡大できないでいる製薬企業にとっては、初期の売上計画達成のための条件がますます厳しくなる。
製薬企業は、せっかく見出した新薬だから何とか日の目を見せたいと考えたとしても、そのことが自社の経営を圧迫することになりかねない。今後、薬理作用類似薬が一定期間内に多数上市される中でシェアを拡大できない新薬を持つ製薬企業は、早期に開発の中止を含め、なんらかの経営判断をしなければならなくなったと考える。


【調査概要】
調査期間:2013年4月~2014年4月
調査対象:製薬企業、医薬品卸、医療機関、薬局、行政当局、学識経験者等
調査方法:当社専門研究員による直接面談、ならびに文献調査併用

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[矢野経済研究所]
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