裁量労働制等の労働時間制度に関する調査(事業場調査結果) 

2014年06月30日
労働政策研究・研修機構は、「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査」を実施。
弾力的労働時間制度を中心とした労働時間制度について事業場およびそこで働く労働者の実態や要望を把握するために本調査を実施。本調査は厚生労働省からの要請に基づく。

【調査結果のポイント】

<みなし労働時間数の決定には通常の所定労働時間又は今までの実績が用いられている>
「通常の所定労働時間」が用いられる割合が最も高く(専門業務型 47.6%、企画業務型:31.7%)、次いで「今までの実績から算出」(専門業務型:33.5%、企画業務型:20.0%)。「今までの実績から算出」と回答した事業場のうち実績として用いたものは、「裁量労働制適用労働者の平均実労働時間」の回答割合が最も高い(専門業務型:60.8%、企画業務型:71.7%)。

<裁量労働制適用者に対してのみ支払われる特別手当の額は残業代相当分>
57.5%の事業場に特別な手当制度が「ある」。金額設定基準は「通常の所定労働時間を超える残業代相当分」が 75.7%で最も高い。

<3 割から 5 割の事業場で裁量労働制導入手続に負担を感じている>
専門業務型では「かなり感じた」「ある程度感じた」の合計で 49.0%の事業場が「労働時間の状況の把握方法の検討」に負担を感じ、次いで「深夜または休日労働の労働時間管理方法の検討」が 48.9%。企画業務型では「報告の作成及び労働基準監督署長への届出」が 33.6%、「労使委員会の運営規定の作成」が 32.7%、「決議届の作成及び労働基準監督署長への届出」が 32.4%など。

<制度導入手続きについては「現行制度でよい」との回答が多い>
多くの事業場が「現行制度でよい」と回答(専門業務型:74.0%、企画業務型:38.2%)。一方「有用でない手続があり、煩雑である」との回答もある(専門業務型:13.7%、企画業務型:28.9%)。有用でなく煩雑な手続は、専門業務型では「労使協定の労働基準監督署長への届出」82.6%、「労使協定の締結」48.4%。企画業務型では「報告の作成および労働基準監督署長への届出」68.7%、「決議届の作成および労働基準監督署長への届出」52.1%など。

<対象業務の範囲は「現行制度でよい」の回答が多い一方、「狭い」との回答は 2 割前後>
「現行制度のままでよい」との回答が多い(専門業務型 67.9%、企画業務型 40.8%)一方「狭い」との回答もある(専門業務型:17.0%、企画業務型:21.6%)。「狭い」と回答した事業場の意見として、専門業務型では「広く対象業務として認めるべき」82.2%、「労使に委ねるべき」48.7%。企画業務型では「労使委員会で合意できれば対象業務として認めるべき」72.5%、「対象業務の要件を拡大すべき」59.4%など。


【調査概要】
・調査期間:2013 年 11 月中旬から 12 月中旬
・調査方法:人事等担当部署宛に調査票を郵送、労働者に配布を依頼し、回答労働者から個別に回収
・調査対象:厚生労働省抽出分1:厚生労働省が無作為抽出した 5,414 事業場(うち、専門業務型裁量労働制導入事業場 3,159、企画業務型裁量労働制導入事業場 2,255)で働く、適用される労働時間制度の区分(①専門業務型裁量労働制適用者、②企画業務型裁量労働制適用者、③フレックスタイム制適用者、④管理監督者、⑤その他一般労働者各 2 人)に応じた一事業場当たり計 10人の常用正社員、合計 54,140 人の労働者。
事業所データベース抽出分:民間調査会社の事業所データベースに登録されている全国の常用労働者 30 人以上規模の事業場のうち産業大分類別・従業員規模別に経済センサスに基づいて割り付け無作為抽出した 7,586 事業場で働く、適用される労働時間制度の区分(上記①から⑤各2 人)に応じた一事業場当たり計 10 人の常用正社員、合計 75,860 人の労働者。調査対象労働者数合計:130,000 人
・有効回収率、回収数:
 厚生労働省抽出分事業場で働く労働者:18.5%(10,023 票)
 事業所データベース抽出分事業場で働く労働者:17.1%(12,983 票)

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[労働政策研究・研修機構]
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