裁量労働制等の労働時間制度に関する調査(労働者調査結果) 

2014年06月30日
労働政策研究・研修機構は、「裁量労働制等の労働時間制度に関する調査」を実施。
弾力的労働時間制度を中心とした労働時間制度について事業場およびそこで働く労働者の実態や要望を把握するために本調査を実施。本調査は厚生労働省からの要請に基づく。

【調査結果のポイント】

<専門業務型と企画業務型では、働き方の傾向が異なる>
専門業務型は、企画業務型や通常の労働時間制に比べて、「深夜の時間帯に勤務」「土曜日に勤務」「日曜日や祝日に勤務」「自宅で仕事」「勤務時間外の連絡」「休日が週に1日もない」について「よくある」割合が高い(10~20%)。企画業務型の働き方は、「よくある」割合を見る限り、専門業務型よりも通常の労働時間制の働き方に近い。

<専門業務型と企画業務型では、仕事の家庭生活・健康への影響の傾向が異なる>
「仕事に熱中して時間を忘れてしまう」「仕事に区切りをつけられない」「退社後は何もやる気になれない」「時間に追われている感覚がある」「自分自身や家庭のことを行う時間がない」などの状況について、専門業務型では、企画業務型や通常の労働時間制と比べて、「よくある」割合(概ね 15~30%)、「よくある」「ときどきある」を合わせた割合(概ね 60~80%)が高い。

<対象業務の範囲が「狭い」「不明確」との回答は少なく、7 割弱は現行制度でよいと回答>
現在の裁量労働制の対象業務の範囲について、7 割弱が「現行制度でよい」と回答(専門業務型:66.8%、企画業務型:69.3%)。一方「狭い」との回答(専門業務型:4.9%、企画業務型:7.5%)、「範囲が不明確」との回答は比較的少ない(専門業務型:17.8%、企画業務型:12.5%)。

<裁量労働制適用への期待実現度は期待した内容によって異なるが、適用満足度は高い>
「仕事の裁量が与えられるので仕事がやりやすくなる」では専門業務型 40.7%、企画業務型 45.1%が「概ね期待どおり」と回答。一方、「仕事を効率的に進められるので、労働時間を短くできる」では、専門業務型 49.1%、企画業務型 38.3%が「あまり期待どおりとなっていない」と回答するなど、裁量労働制適用の際に期待した内容により適用後の期待実現度に違いが見られる。
「満足」「やや満足」を合わせると、専門業務型で 7 割弱、企画業務型で 8 割弱が満足と感じている(図表 16)。なお、「やや不満」「不満」と回答した人の不満な点は、「労働時間(在社時間)が長い」(専門業務型 51.9%、企画業務型 45.1%)、「業務量が過大」(専門業務型 49.4%、企画業務型 40.0%)、「給与が低い」(専門業務型 44.8%、企画業務型 31.1%)など。


【調査概要】
・調査期間:2013 年 11 月中旬から 12 月中旬
・調査方法:人事等担当部署宛に調査票を郵送、労働者に配布を依頼し、回答労働者から個別に回収
・調査対象:厚生労働省抽出分1:厚生労働省が無作為抽出した 5,414 事業場(うち、専門業務型裁量労働制導入事業場 3,159、企画業務型裁量労働制導入事業場 2,255)で働く、適用される労働時間制度の区分(①専門業務型裁量労働制適用者、②企画業務型裁量労働制適用者、③フレックスタイム制適用者、④管理監督者、⑤その他一般労働者各 2 人)に応じた一事業場当たり計 10人の常用正社員、合計 54,140 人の労働者。
事業所データベース抽出分:民間調査会社の事業所データベースに登録されている全国の常用労働者 30 人以上規模の事業場のうち産業大分類別・従業員規模別に経済センサスに基づいて割り付け無作為抽出した 7,586 事業場で働く、適用される労働時間制度の区分(上記①から⑤各2 人)に応じた一事業場当たり計 10 人の常用正社員、合計 75,860 人の労働者。調査対象労働者数合計:130,000 人
・有効回収率、回収数:
 厚生労働省抽出分事業場で働く労働者:18.5%(10,023 票)
 事業所データベース抽出分事業場で働く労働者:17.1%(12,983 票)

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[労働政策研究・研修機構]
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