世界最大規模の旅行動向調査「トリップバロメーター2014」 

2014年04月23日
「TripAdvisor®」の日本法人であるトリップアドバイザーは、全世界の宿泊事業者および旅行者を対象にした世界最大規模の旅行動向調査である「TripBarometer(トリップバロメーター)2014」(以下、トリップバロメーター)を発表。トリップバロメーターは、トリップアドバイザーが年に2回発表する、旅行者の消費動向や各国の特徴、旅行の計画の立て方の違いなどを把握することを目的とした調査です。

【調査の主なポイント】

■日本人の旅行に関する年間平均支出額は約 64万円(脚注1)

■海外旅行を計画している日本人は昨年より1割増

■世界では44%が旅行の計画に為替変動の影響があると答えているのに対し、日本では38%に留まる

■日本人が今後1~2年の間に訪れたい憧れの旅行先は、1位イタリア、2位アメリカ、3位スペイン

■日本人にとって、「食」が旅行の重要な要素であることが判明

■日本のホテル事業者は、インターネット上の口コミと宿泊料金が、旅行者の意思決定に最も影響を与えていると認識(55%)

■97%の日本人がインターネットを利用して旅行の情報を収集し、計画を立てているが、同時にガイドブックや旅行会社のパンフレットも重宝して利用している(70%)

■日本人旅行者はスマートフォンを頻繁に利用しており、89%が旅行中も使用すると回答

■日本のホテル事業者はモバイル向けのサービス提供に関して、世界のホテルに比べ遅れを取っている(世界76%、日本67%)


【調査結果】

・日本人の旅行に関する年間平均支出額は昨年と殆ど変らず、64万円

世界全体の旅行に関する年間平均支出予定額は、2013年のUS$5,955(¥607,410)から、今年はUS$6,136(¥625,872)と3%上昇、旅行に使うお金を増やすという結果となり、旅行業界に明るいニュースとなりました。
一方、日本人は2013年のUS$6,306(¥643,212) と同レベルの支出を予定しており、世界の平均支出を若干上回るUS$6,367 (¥649,434) へとわずかな上昇に留まっています。

・海外旅行を計画している日本人は昨年より1割増

旅行頻度を増やす旅行者の割合は、ほぼすべての国で増加しています。国内旅行を計画している人の割合については、2013年の87%から増加し今年は90%になりました。また、海外旅行を計画している人の割合は、2013年の65%から12%増加し、77%となりました。

日本人も2014年は旅行を増やす傾向にあり、国内旅行を計画している日本人は昨年の92%から95%へ、また海外旅行を計画している日本人は昨年の68%から78%へと10%増加しています。この結果から、景気を楽観視していない人が多いにも関わらず(楽観的と回答した人は世界でわずか11%、日本人では16%)、旅行に行く意欲は高い消費者の様子がうかがえます。

なお、総じて為替の変動が日本人の旅行計画に影響を与える可能性が低いこともわかりました。世界では、44%が旅行の計画に影響を与えると答えたのに対し、日本人は38%に留まりました。

・日本人にとって旅の重要な様子は「食事」 - 世界でトップ

今後1~2年間で訪問したいエリアは、世界では1位が「ヨーロッパ」(46%)で、2位が「アジア」(39%)、3位が「北米」(32%)でした。日本は、訪問したい国としてマレーシア人、タイ人、インドネシア人に挙げられている一方、日本人が訪問したい国の1位は「イタリア」、2位が「アメリカ合衆国」、3位が「スペイン」となりました。

どのような旅行を好むか聞いたところでは、世界のトップは「ビーチ」(36%)だったのに対し、「ビーチ」を選択した日本人は21%に留まりました。一方で「食」を楽しむ旅行に対する日本人のスコアは世界で一番高く、世界平均が20%なのに対し、3倍近い53%の日本人が美味しい食事が期待できる旅行を好むと回答しました。これは、日本人にとっていかに「食」が重要な要素であるかを示しています。

・日本のホテル事業者は、インターネット上の口コミと客室料金が、旅行者の意思決定に最も影響を与えていると認識

消費者のほとんどは、予約時に「客室料金」が最も重要な判断要素であると回答しています(世界95%、日本94%)。また、「インターネット上の口コミと、宿泊したことのある人からの意見」(世界89%、日本86%)も重要だと考えています。対照的に、世界のホテル事業者は「インターネット上の口コミ」(56%)が「客室料金」(50%)よりも旅行者の意思決定に影響していると思うと回答しています。

一方、日本のホテル事業者は、「インターネット上の口コミ」(55%)、「客室料金」(55%)と両者を同様に重視しており、客室料金が重要な要素であると認識しつつも、最終的に旅行者は客室料金だけでなく、インターネット上の口コミの高い評価と合わせて予約判断をしていると考えているようです。

旅行の予算と旅行の計画が増加していることは、旅行業界の楽観的な先行き見通しに反映されており、世界のホテル事業者の70%が来年の収益を楽観視していると回答しました(2013年の67%から上昇)。

日本のホテル事業者では、来年の収益性を楽観視していると答えたのはわずか32%(2013年の21%からは上昇)でしたが、客室料金を世界の平均より高くすると答えた日本のホテル事業者は増加しました(世界52%、日本61%)。その理由としては諸経費の増加が挙げられました(世界58%、日本44%)。

・日本人はインターネットを使って情報を収集し、旅行を計画しているが、同時にガイドブックや旅行会社のパンフレットも頻繁に利用している

世界では、旅行者の6割(65%)が出発の最低3か月~4か月前から計画を立て始め、1/3弱(32%)が旅行の1か月前に予約することがわかりました。対照的に、世界のホテル事業者の多く(65%)は、ほとんどの予約がチェックイン日の4週間前以内に行われ、リゾートへの宿泊の場合は若干前倒しに計画されると考えていました。

これに対して、アジアの旅行者は比較的直前に宿泊予約する傾向が強く、旅行の2週間前までに予約すると答えたのは、世界平均の16%より高い23%でした。日本人に限っては、半数以上(53%)の人が2か月前~3週間前までに予約をするという結果となりました。イギリス人とオーストラリア人は旅行の計画を立てる時期が最も早く、旅行の7か月から12か月前に予約を行う人の割合が他の国に比べて高い(世界:6%、イギリス人:20%、オーストラリア人:16%)ことも明らかになりました。

旅行の計画を立てるにあたっては、世界の調査結果と同様、日本人の97%が旅行に関する情報収集にインターネットを活用していることがわかりました。しかしながら、ガイドブックや旅行会社のパンフレットなどのオフラインの媒体が未だに重宝されていることも、日本人に特徴的な結果としてわかりました(世界:45%、日本:70%)。

世界のホテル事業者は、宿泊予約の意思決定に影響を与える要素として、インターネット上の口コミの重要性を認識しており(世界:94%、日本89%)、宿泊客に旅行後の口コミ投稿を積極的に推奨・収集しています。口コミの重要性を認識している世界のホテル事業者の半数近く(48%)は、トリップアドバイザーなどのインターネット上のプラットフォームから口コミを収集しており、1/3以上(38%)は宿泊客へEメールを送ることで口コミ投稿を促進していました。しかしながら日本では、インターネット上の口コミサイトで口コミを収集しているホテル事業者はわずか36%で、Eメールでのフォローアップや口コミ投稿の促進策を実施しているホテル事業者は更に少数(14%)でした。

・日本人旅行者はスマートフォンを頻繁に利用しており、9割が旅行中も使用すると回答

世界の旅行者はモバイル端末を常に持ち歩き、ほとんどが旅行時にもスマートフォンを利用すると回答しています(世界:91%、日本:89%)。 世界の旅行者の34%がスマートフォンを使って旅先でやることを探し、1/4近く(24%)がホテルの検索に利用していることがわかりました。ただ、旅行の計画や下調べにモバイル端末を利用している人は増加しているにも関わらず、モバイル端末を利用して予約をする段階までには至っていないのが現状です。

直近の旅行をオンラインで予約した日本人は72%と、世界平均の66%を上回っています。そのうち、世界の31%と日本の43%が「より安い価格で予約するため」にオンライン予約を選択したと答えています。旅行会社のカウンターなどオフラインで予約をしたのは、世界で24%、日本で20%でした。これほどオンライン予約が一般化しているにも関わらず、モバイル端末での予約は緩やかな増加に留まっており、直近の予約をモバイル端末で行った人は世界・日本共に4%でした。しかし、中国:10%、タイ:9%、インドネシア7%、マレーシア7%と、アジアの新興国ではモバイル端末からの予約が世界と比較して高い割合を示しており、これはアジア市場でオフラインからモバイルチャネルへとシフトする「リープフロギング」3が発生していることを物語っています。

・日本のホテル事業者はモバイルのサービス提供に関して、世界のホテルに比べ遅れを取っている

今回の調査では、他のアジア市場のホテル事業者とは異なり、日本のホテル事業者はモバイルでのサービス提供という点で後れを取っていることが明らかとなりました。モバイルでのサービス提供を実施している日本のホテル事業者は、世界の76%に比べ67%に留まります。

現在こうしたサービスを持っていないホテル事業者のうち、半数(50%)の世界のホテル事業者と35%の日本のホテル事業者が、今年度中にモバイル向けのサービス提供開始を予定していると答えています。現在、モバイル端末対応サイト経由で宿泊予約が可能な日本のホテルはわずか32%で、モバイルフレンドリーなウェブサイトを持つホテルは24%でした。


【調査概要】
・目的:国、地域、世界の旅行トレンドの集計・分析・発表
・実施機関:調査会社Ipsosがトリップアドバイザーの委託を受けて実施
・集計期間:2014年2月14日~3月10日の間にオンラインで実施
・対象国・地域:世界7エリア・32の国と地域
・対象者:旅行者50,637名、宿泊事業者10,370名、合計61,007名(脚注2)、うち日本人回答者2,446名
・特記事項:前回の調査結果との整合性を図るため、調査データには世界のオンライン人口比を、全体、及び各国・地域別にも加重

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[トリップアドバイザー]
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