IT人材白書2014(IT人材育成事業に関する調査) 

2014年04月18日
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、IT人材育成事業の一環として、IT関連産業の人材動向、産学におけるIT教育等の状況およびIT人材個人の意識を把握すること等を目的とした調査を2013年10月に実施し、この調査結果を基に「IT人材白書2014 『作る』から『創る』へ、『使う』から『活かす』へ ~価値を生み出すプロの力~」を4月25日に公開します。

今回は、従来のIT人材の動向調査に加えて、IT人材を取り巻く環境変化や、それに伴って求められる高度化・多様化に対応した新たなIT人材像をテーマに調査を実施しました。ITが担う産業分野の拡大やIT を活用した新事業への期待など、ITの役割に対するニーズが変わりつつある中で、ビジネスシフトやグローバル化をはじめとする事業変化の動向、また、産業の枠を超えた新サービスの創出や情報セキュリティへの対応といった新たな分野におけるIT人材の育成実態などについて、その一部を明らかにしました。

「IT人材白書2014」のポイント

(1) ビジネスシフトをはじめとするIT企業の変革への意識と人材育成

・ユーザー企業が今後新規/拡大を予定している事業(SaaSサービス、PaaSサービス、HaaS・IaaSサービス(開発・提供)、IDCサービス(ハウジング、ホスティング等))へのIT企業の関心は低く、また、IT企業が今後新規/拡大を予定している事業(開発、運用、SI)については、ユーザー企業の関心が低い状況にある。

・「従来型」の受託開発以外の事業実施を行っていない(検討していない)IT企業は、受託開発以外の事業の「必要性を感じていない」と回答するところが多く、特に、受託開発の売上に占める一次請け比率の高い企業は53.4%と高い数値を示している。また、IT企業における「従来型受託開発以外の事業を実施する人材育成状況」については、「検討を行っていない」と回答する企業が多く見られ、その理由には「ビジネスモデルを具体化できていない」という回答が多い。

・ユーザー企業における情報システムが、“IT企業に発注して開発するもの”から“サービスを選択して利用するもの”へと変化しているのに対して、現状、IT企業が必ずしもこの変化に対応していないと推測される。IT企業における市場動向を見据えたビジネスモデルの構築には、ユーザー側のニーズの把握が不可欠であり、また、ビジネスモデルが確立していなければ、求められる人材像も見えてこない。そのため、人材育成への着手も困難になっているものと考えられ、事業の継続・発展に欠かせない競争力の源泉である人材を育成するためには、経営者としての明確なビジョンが求められる。

(2) 高まるIT人材の不足感

・IT企業のIT人材の「質」に対する不足感には変化が見られない。他方で、「量」については、「大幅に不足している」の割合は19.0%となり、2012年度の12.2%から大きく増加している。また、「やや不足している」の割合との合計では82.2%となり、2012年度の72.0%から10ポイント増となっている。(その他、ユーザー企業における量的不足感は依然として高い水準にあるものの、経年での変化は見られなかった。)

・IT企業を従業員規模別で見ると30名以下の企業をはじめ、規模の小さい企業で特に量的不足感が強く見られることから、一定の人材数を必要とするプログラマーやシステムエンジニア等の技術者が不足している状況を示唆していると考えられる。

(3) 期待される人材の流動化とウェブビジネス

・IT人材に求められる資質が多様化・高度化する中で、企業は自社の人材を育成するとともに、必要な人材として中途採用(キャリア採用)による獲得も重視しているが、特に、技術の変化が早いウェブビジネスを行う企業では、IT人材数に占める中途採用者の割合は、IT企業やユーザー企業に比べて高く(27.1%)、人材の流動性が高いと言える。

・IT人材で重視する能力(「技術力(知識・スキル)」と「人間力(コンピテンシー/行動特性、社会・対人関係、自己制御等)」に区分)では、IT企業・ユーザー企業とウェブビジネス企業では、共通部分もあるが次の特徴的な違いが見られる。
<ウェブビジネス企業が重視する能力(IT企業、ユーザー企業との差がみられた能力)>
 技術力:「ウェブ技術」「データ解析」 人間力:「発想力・企画力」「スピード感」

(4) 情報セキュリティ関連分野における関心事の現状

・情報セキュリティリスクが深刻化・多様化しており、企業における情報セキュリティ関連分野での関心事は、日々、メディア等で注目されるウイルスやサイバー攻撃等のいわゆる「攻撃」の脅威よりも、IT企業及びユーザー企業ともに、セキュリティポリシー、監査、ISMS等の「セキュリティマネジメント(運用・体制)」が高い結果となった。

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