日本食品に対する海外消費者アンケート調査 

2014年03月03日
ジェトロは「日本食品に対する海外消費者アンケート調査」を実施。海外に居住する消費者の食習慣や、日本料理および日本産食品に対する評価等に関する生の声を探り、現地消費者の需要を把握するとともに、今後の当該市場への日本産食品の輸出拡大の参考とすることを目的として実施。

【調査結果要旨】

1.好きな外国料理は「日本料理」がトップ

・「好きな外国料理」を聞いたところ、6都市合計では「日本料理」が38.4%と最も高い結果となった。次いで「イタリア料理」15.6%、「中国料理」14.0%が続く。

・都市別では、サンパウロ、ドバイを除く4都市で「好きな外国料理の1位」として「日本料理」が選ばれた(サンパウロ2位、ドバイ4位)。「日本料理」を1位に選んだ4都市での「日本料理」の回答割合は、バンコク66.6%、ジャカルタ50.4%、ホーチミン37.8%、モスクワ35.4%であり、特にバンコクとジャカルタで人気が突出していることが明らかになった。

2.「健康への配慮」が日本料理を評価するポイント

・ヘルシーな印象の日本料理に注目が集まる
どの外国料理も好きな理由の第1位は「味の良さ」だが、日本料理に特徴的なのは6都市共通で「健康に配慮」が高評価ポイントである点。特に「健康に配慮」の回答者割合が高かったブラジルでは、糖尿病および肥満体質の人が増加傾向にあり、2人に1人が肥満予備軍である。そのため、ヘルシーという印象の日本料理がより一層注目されている。

・「味の良さ」以外の評価ポイントに各国の特徴
日本料理に限らず、全外国料理を対象として好きな理由を見ると、「味の良さ」は各国共通で高いが、それ以外の理由は国ごとに特徴が現れた。

<「身近にある」からと答えたのはサンパウロとドバイ>
サンパウロでは、イタリア料理や日本料理を好きな理由として「身近である」が多く挙げられている。これは、サンパウロは日系やイタリア系移民の歴史が長く、普段から日本食レストランやイタリアレストランに親しみがあるためと考えられる。 ドバイでは、休日をショッピングモール等の屋内複合商業施設で過ごすことが多く、フードコートで目にする機会が多い料理を「身近にある」と考えて好む傾向がある。

<「洗練されている・高級感」を選んだのはバンコクとホーチミン>
バンコクでは、好きな外国料理として日本料理を回答した割合が他国に比べ66.6%と非常に高く、「洗練されている・高級感」の割合も高い。日本産食品は色、形、味、安全性、パッケージを含めて、高品質・高価格のため、日本料理にも同様のイメージが持たれている模様。ホーチミンでは、日本料理をはじめ外国料理レストランは、ベトナム人ではなくその国の人が経営・関与しているものが主流である。また、外国料理レストラン数が少なく、駐在員や富裕層向けの高級なイメージが持たれている。

3.「日本料理」のイメージは総じてポジティブな一方、価格が高いとの認識も

・日本料理のイメージとしては、「美味しい」(26.6%)、「健康に良い」(21.3%)、「おしゃれ」(9.1%)などポジティブなものが多い結果となった。他方で、「価格が高い」と答えた回答者が18. 1%に上り、現地では高価格であると受け取られている実態が分かった。

・「価格が高い」と答えた回答者が最も高いのはドバイ(25.2%)
ドバイでは、ファーストフード系の日本食レストランがあまり進出していないこともあって、他国と比べて低価格帯の日本食が普及しておらず、一般的に日本食レストランは高級店に限定されることが要因の一つと考えられる。

4.「寿司・刺身」に続く人気メニューは、各国の好みを反映

・「好きな日本料理」の1位として、全ての都市で「寿司・刺身」が挙げられた。特にモスクワでは49.8%、サンパウロでは46.2%と圧倒的な人気を誇った。これは、寿司を中心に提供する現地化したカジュアルな形態のレストランが普及していることが要因と見られる。このように、「寿司・刺身」、「天ぷら」、「焼き鳥」は日本料理メニューとして浸透しているが、それ以外の料理については、各国の好みが反映される結果となった。特徴が見られたのは、以下の3カ国である。

<タイは「しゃぶしゃぶ」や「すき焼き」が人気>
タイには「タイスキ」と呼ばれるタイ式鍋料理があり、日本のしゃぶしゃぶやすき焼きに対して親和性があると見られる。「しゃぶしゃぶ」と「寿司」、「すきやき」と「寿司」がセットで提供されるビュッフェスタイルのカジュアルレストランも人気を博している。

<インドネシアは「ラーメン」の人気が高い>
ジャカルタでは数年前から日本のラーメンブームが起きている。インドネシアは華僑が持ち込んだとされる麺文化が深く根付いており、中国に次ぐ世界2位の麺類消費国である。このような素地に加え、これまでになかった日本のラーメンの味と風味が受け入れられており、脂っぽいものや濃い味を好むインドネシア人の嗜好に合ったことが背景にある。

<ドバイは「カレーライス」が人気>
UAEの人口のうち88.4%が外国籍(出所:Euromonitor International。2012年)であり、なかでもインドからの居住者が多い現状である(本調査の回答者も42.8%がインド国籍)。そのため、ドバイ市場開拓の際はアラブ人のみならずインド人等の嗜好も考慮する必要がある。カレーライスを選んだ回答者も71.7%がインド国籍の人々であった。一般的にインド人は日本の「カレーライス」とインドの「カレー」の味は別物と考えているものの、見た目やスパイシーさに親和性を感じている様子。インド人の特徴として「食に対して保守的」、「薄味に対して味を感じにくい一方、辛味においしさを求めるのでスパイスが不可欠」が挙げられるため、これらも考慮してドバイ市場を見る必要がある。

5.中間層向け日本産食品の売り込みが鍵

・「価格の高さ」と「限られた販売場所」が、日本産食品・食品購入時の問題点や買わない理由の筆頭
日本産食品の品揃えは高級スーパーマーケットほど多く、中・低所得者層向けになるにつれ少なくなる現状にある。例えばタイにおいて、日本産食品の割合が日系百貨店・スーパーマーケットに次いで高いのは、サイアムパラゴンやエンポリアム等の現地系百貨店や高級スーパーマーケットで、Big CやTesco Lotus等のハイパーマーケットになるにつれ低くなる。今後いかに価格競争力をつけ、中間層向けの日本産食品を売り込んでいくかが鍵。

・「宗教上問題がある」との回答は現状では限定的:ジャカルタ、ドバイ
イスラム教徒が多い両国(本アンケート回答者のうち、イスラム教徒の割合はジャカルタ81.4%、ドバイ35%)であるが、日本産食品の非購買理由として「宗教上問題があるから」と回答した割合は、ジャカルタが12.8%、ドバイは8.6%であった。また、Q3で「食品購入時に重視する点(1位)」を尋ねたところ、「宗教倫理に適合しているか」と回答したのはジャカルタ10.4%、ドバイ8.8%であった。このように現状の回答は限定的であるものの、今後より広く日本食が受け入れられるためには、宗教倫理に適した日本産食品・食材の提供がカギの一つになると見られる。

6.日本産食品の評価は品目により異なる
・水産品、調味料、日本酒、青果物、牛肉、日本茶の各品目について、認知や購入経験等を尋ねた。


【調査概要】
・目的:海外に居住する消費者の食習慣や、日本料理および日本産食品に対する評価等に関する生の声を探り、現地消費者の需要を把握するとともに、今後の当該市場への日本産食品の輸出拡大の参考とすることを目的として実施。
・期間:2013年12月4日~18日
・手法:海外インターネット調査
・対象都市:モスクワ(ロシア)、ホーチミン(ベトナム)、ジャカルタ(インドネシア)、バンコク(タイ)、サンパウロ(ブラジル)、ドバイ(アラブ首長国連邦)
※農林水産省「農林水産物・食品の国別・品目別輸出戦略」の新興市場のうち、日本からの食料品輸出額が大きい国を対象とした。
・調査対象:調査対象都市に居住する10~50代男女(在留邦人除く)
・サンプル数:各都市500、計3,000
・そ の 他:昨年度は、日本からの農林水産物・食品輸出の輸出上位国を中心に調査を実施した。(中国、香港、台湾、韓国、米国、フランス、イタリアの7カ国・地域)

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[ジェトロ]
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