調査報告書 「リ・スキル~中高年人材の生産性と競争力向上のために~」 

2014年02月04日
マーサージャパンは、報告書「リ・スキル~中高年人材の生産性と競争力向上のために~」を発表。本報告書は、2014年1月下旬に世界経済フォーラム (WEF) 年次総会 (通称ダボス会議) で報告されたレポート「 Education & Skills 2.0: New Targets and Innovative Approaches 」のうち、日本における中高年人材活用の課題と解決のための提言の元となった調査・分析の結果をマーサージャパンとしてまとめたものである。

キーワードは「リ・スキル(Reskilling)」

本報告書は、30を超える日本企業・団体のヒアリングを含む調査より見出した「リ・スキル」をキーワードとして、中高年人材の活性化の成功要因を抽出し、企業・個人・政府への提言を行っている。「リ・スキル」とは、個人が、年齢にかかわらず成長することを志向し、新たなスキルを身につけたり、経験領域を含むより広い領域で保有するスキルを活用したりすることによって、個人としての生産性や競争力を高め、より大きな価値を生み出すことができるようにすることである。

中高年人材の活性化は、多くの日本企業で重要な経営課題として認識されているが、未だ有効な解決策が見出されているとは言えない。解決に向けた具体的な取り組みが進まない根本原因は、年齢による個人の能力の衰えにあるのではなく、高度経済成長期に労働力確保の観点から整備された日本企業の人材マネジメントと雇用慣行、労働市場の流動性を低位安定させた社会・労働政策、そして会社の提示するキャリア・シナリオを甘受する個人の「一所懸命」の就社観の3つが強固に噛み合って容易にほどけないことにある。

中高年人材活性化の成功要因

マーサーによる調査を通じて、まだスケールこそ小さいものの、目的を明確に意識したユニークな取り組みによって中高年がスキルの転換や高度化を果たし、新たな価値を生み出しているケースが見出された。それらの分析から導き出された「中高年社員の活性化」の成功要因は以下の5つである。

個人に「成長」を求める場づくり
経験領域を含む、より広域で活用可能な個人のスキル・適性の特定
個人の志・動機の振り返り・再確認と成果に対する評価・認知
人と事業の要件を見極めた上での柔軟なマッチングと成長の支援
組織を超えたオープン化、これによる上記(1)~(4)の強化

これらの成功要因を個別ばらばらに施策に落とし込み、実施しても十分な成果は期待できない。これらの成功要因を複数組み合わせ、かつ、企業・個人・政府が連携して包括的に取り組むことが重要である。

企業・個人・政府への提言

企業・個人・政府はそれぞれ、「成長」「仕事の要件と人材の能力の客観的な評価」「育成のための投資」の3つの基本的方向性で一貫した、以下の意識・行動・施策の変革を一体的に進めるべきである。

<企業>
成長戦略を実現するための人材戦略を具体的に示す
年功ではなく、仕事の要件と人の能力を客観的に評価して配置・登用する
中高年社員こそローテーションして育成する

<個人>
「志」を再確認し、年齢に関係なく成長を目指す
肩書や年次で仕事をしない
市場価値を意識し、35歳から毎年キャリアを見直す

<政府>
「日本再興戦略」に中高年人材をマッチングするオープンプラットフォームを作る
リ・スキルのロールモデルを表彰し、特定分野を超えて活用できる能力の評価基準を作る
職業訓練を見直し、中高年人材へのリ・スキル促進投資を増やす

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[マーサー]
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