第13回 日本的雇用・人事の変容に関する調査 

2013年01月29日
日本生産性本部は、97 年より、全上場企業を対象に「日本的雇用・人事の変容に関する調査」を実施している。今回の調査は第13 回にあたり、2012 年10 月上旬から11 月中旬にかけて実施した。

【調査結果サマリー】

Ⅰ.定昇など賃金制度の動向

○ 年齢や勤続に応じた定期昇給はないという企業は、約4 割(39.6%)。5000 人以上では約6 割(60.9%)。

○ 定期昇給の導入企業は55.2%(「定年まで定期昇給がある」16.9%、「一定年齢までは定期昇給がある」38.3%)

○ 定期昇給がある年齢、平均47.4 歳(最少年齢は27 歳、最高年齢は57 歳)。

○ 今後の定昇制度の取り扱い、「現状のまま」42.4%。一方、「定期昇給によって上がる水準を抑制したい」が25.9%、「一定年齢までは定昇はやむを得ないがもう少し早めの年齢で止めたい」が21.2%で、あわせると47.1%は見直しを考えている。5000 人以上では「現状のまま」という企業は、12.5%「定期昇給によって上がる水準を抑制したい」37.5%、「一定年齢までは定昇はやむを得ないがもう少し早めの年齢で止めたい」25.0%で62.5%が定昇制度の見直しを考えている。

○ 人事制度(処遇制度)の今後の方向、管理職は成果主義57.1%、非管理職は能力主義63.6%。

○ 役割・職責あるいは職務の価値を反映している部分(以下、役割・職務給)の導入率が更に高まり、管理職約8 割(79.2%)、非管理職約6 割(58.4%)。


Ⅱ.正社員の解雇規制緩和

○ 仕事と賃金がミスマッチしている年齢層、「50 歳代」が約5 割(50.6%)、「40 歳代」という企業は26.6%。

○ 正社員に占める割合は平均20.2%、500 人以上1000 人未満では「2 割以上~3 割未満」が36.4%と最も多くなっている。

○ 正社員の解雇規制緩和に肯定的な意見が48.7%(「そう思う」14.9%、「どちらかといえばそう思う」33.8%)。

○ 解雇規制緩和に否定理由、「正社員の解雇規制を緩和しても、必ずしも雇用の増加にはつながらない」50.0%、「雇用の安定・確保が損なわれることの不安が、働くことに悪影響を及ぼす」が34.3%。


Ⅲ.60 歳以降の雇用確保

○ 2011 年度の再雇用者の割合63.6%(平均再雇用率=再雇用者÷定年退職者)、再雇用時の賃金は定年退職時の平均54.0%(月例給ベース)、年収ベースでは同49.8%と定年時のほぼ半額。

○ 現時点で再雇用選定基準として業績評価など人事考課を「反映している」74.3%。改正高年齢者雇用安定法(改正法)では、労使協定で対象者の選別を禁じているが、今後も業績評価など人事考課による選別要件の設定は「必要だと思う」が48.6%、「本当は必要だと思うが、法の主旨から考えると選別基準を設定するのは望ましくない」が47.1%と、併せると大多数(95.7%)の企業が必要と認識。

○ 改正法施行に伴い「人件費の推移によっては、新卒採用の抑制もありうる」という企業3 割強(32.1%)、「再雇用者の賃金水準を引き下げる」(28.6%)、「若年層も含めた全ての社員を対象に賃金水準や退職金・企業年金の見直しをする」(27.9%)。


Ⅳ.採用の動向

○ 「新卒一括採用を主としている」という企業は約7 割(70.1%)を占める。

○ 新卒一括採用のメリットは、「新卒者が定期的に入ってくることで、職場が活性化する」55.8%、「一定期間に採用活動を集中的に行えるため、採用コストなどの面で効率が良い」(35.1%)。

○ 既卒3 年以内の新卒採用、「対象としていない」という企業は33.1%、理由は「新卒採用で、必要な人数は十分獲得できるため」(47.1%)、「新卒時に採用されなかった理由が明確でないため」(43.1%)。

○ 大学等学校のキャリア教育を「評価しない」20.1%。「評価しない理由」は、「仕事をするということの基本的理解や姿勢ができていない」(54.8%)、「社会に出たときの即戦力となるような教育がされていない」(51.6%)。


Ⅴ.グローバル化への対応状況

○ グローバル共通な人事制度、「ある」8.4%、「ないが今後導入に向けて検討中」30.5%。

○ 外国人留学生採用、「ある」44.8%、「ないが、今後は採用したい」22.1%。今年度(2012 年度)の新卒採用者のうち、外国人留学生が占める割合は、平均5.1%。また、今後については平均8.6%程度と増加。


Ⅵ.女性社員活用施策導入・運用状況

○ 2009 年調査に比べ施策導入・運用率が全体に増加。「管理職候補の女性社員のリストアップ、および個別育成」が実施率28.6%(前回差20.1 ポイント)、次いで「育児・介護などの事由による女性社員の退職者に対して再雇用の機会を与える」が36.4%(前回差18.2 ポイント)など。


【調査概要】
・調査名 :「第13回 日本的雇用・人事の変容に関する調査(旧、日本的人事制度の変容に関する調査)」
・実施時期 :2012 年10 月下旬~2012 年11 月中旬
・実施方法 :アンケート調査票郵送方式
・調査対象 :全上場企業 2142 社の人事労務担当者
・回答企業 :154 社(回収率 7.2%)

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[日本生産性本部]
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