農業経営における課題や今後の見通しに関する調査 

2013年09月18日
日本能率協会は、農業の展示会「アグロ・イノベーション」に来場した農業生産者・経営者を対象に、農業経営における課題や今後の見通しについてのアンケート調査を実施(2013年8月23日~9月10日実施、103人回答)。

今回の調査では、回答者の過半数が5年後に規模が拡大、TPPの影響についても、同様に半数近くが自農園の作物の売上に影響はないと回答するなど、農業経営に対して前向きな姿が見られました。

しかしながら現場では、人材不足、円安による燃料・肥料価格アップ、作業の効率化が進まない、流通経路の開拓ができないといった悩みも抱えており、いっそうの効率化やコストダウン、流通経路開拓が課題として読み取れます。また、これらをIT技術の活用により解決したいという期待も多数寄せられました。

【調査結果】

5年後の農園規模「拡大する」が過半数、1/4が「1億円プレーヤー」めざす
・5年後の農園規模を聞いたところ、「拡大すると思う」が52.4%、「現状を維持すると思う」が35.9%と、あわせて約9割を占めた。5年後にめざしたい農業販売額を聞いたところ、1,000~3,000万円が30.1%と最も多かったが、1億円以上との回答が25.2%と1/4にのぼるなど、規模や売上拡大に前向きな姿がうかがえる。

TPPによる自農園への影響は「ない」が約半数、しかし、日本の農業全体の将来の見通しは割れる
・TPPによる自農園への影響について聞いたところ、「自農園の作物の売上には影響はないと思う」が47.6%となった。
・一方、日本の農業の将来について聞いた問いでは、「日本の農業は衰退すると思う」が38.8%と最も多く、次いで「日本の農業は活性化すると思う」(29.1%)、「わからない」(21.4%)、「日本の農業には影響がないと思う」(10.7%)と続いた。

半数近くが農産物の海外輸出に前向き
・海外への輸出の取り組み状況は、「すでに海外に輸出している」(1.0%)、「輸出に向けた検討・準備中」(7.8%)、「今後検討したい」(36.9%)があわせて44.8%と半数近くにのぼった。
・海外へ輸出を増やすために必要だと思うことを聞いたところ、1位「海外市場のマーケティング」(41.7%)、2位「農産物のブランド化」、「輸出ノウハウの習得」(各34.0%)となった。輸出先のニーズに合った付加価値をいかに見いだすかが輸出の鍵であることがうかがえる。

農業経営の悩みは「人材」「コストダウン」「作業の効率化」「流通経路開拓」
・農業経営で現在悩んでいることを聞いたところ、1位「人材(後継者含め)が不足」(42.7%)、2位「円安による燃料・肥料価格アップ」(39.8%)、3位「作業の効率化ができない」(31.1%)、4位「流通経路が不足」(30.1%)であった。

ITに期待することは「コスト管理」「作業の効率化」
・IT(情報通信技術)の農業への応用で期待することを聞いたところ、「コスト管理がしやすくなること」(55.3%)、「作業が効率的になること」(54.4%)が過半数となり、「新しい販売経路を開拓すること」(41.7%)、「他の農業経営者と情報交換がしやすくなること」(37.9%)が続いた。


【調査概要】
・調査対象:農業生産と流通の展示会「アグロ・イノベーション」過去3年間の来場者(農業生産者・経営者)
・調査方法:Web・FAX調査  調査期間:2013年8月23日~9月10日 有効回答数:103人
・回答者属性:[生産作物]施設野菜(37.9%)露地野菜(27.2%)穀物(12.6%)果樹類(10.7%)花き類(4.9%)その他(6.8%)/[経営体]主業農家(63.1%)準主業農家(9.7%)副業的農家(17.5%)生産者外(9.7%)

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
[日本能率協会]
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