生活と支え合いに関する調査 

2013年07月24日
国立社会保障・人口問題研究所は、平成24(2012)年7月に実施した「生活と支え合いに関する調査」(旧「社会保障実態調査」)の結果の概要を取りまとめた。

この調査は、生活困難の状況や、家族や地域の人々の支え合いの実態を把握し、公的な支援が必
要なのはどのような人なのかなどを調査することを目的として、5年ごとに実施している。なお、今回の調査は、平成19(2007)年度に初めて実施した「社会保障実態調査」の内容を継続し、不況や震災の家計への影響などを調査項目に加え、名称を変更しました。

調査対象は「平成 24年国民生活基礎調査」で設定された全国(福島県を除く)の調査地区(1,102
地区)から無作為に選ばれた 300 地区に居住する世帯主および 20 歳以上の世帯員です。有効回答票数は、世帯票11,000(有効回収率 68.3%)、個人票21,173(有効回収率80.6%)でした。

【調査結果のポイント】
■親に経済的支援をしている人が増加。
20 歳代から 60 歳代の人々のなかで、自分の親へ経済的支援をしている人の割合は、男性で14.3%(前回 12.0%)、女性で 10.5%(同 8.1%)。前回調査(2007 年)に比べ、その割合は高くなった。男性では 40 歳代が 17.4%で最も多く、女性では 20 歳代が 16.3%で最も多かった。

■若者の自立は20代後半が中心。
若者(20歳代)の生活費用の担い手については、20~24歳では、親に生活費用の全額または一部を担ってもらっている人の割合が高く、25~29 歳では、本人、配偶者、またはその両方で生活費用を担っている人の割合が高い。

■ひとり暮らしの高齢男性で社会的孤立が深刻。
20 歳以上の人のなかで、ふだんの会話頻度(電話での会話を含む)が「2 週間に 1 回」以下となる人の割合は、2.1%。しかし、ひとり暮らしの65歳以上の男性では、その割合が 16.7%であり、社会的孤立が心配される。世代別にみると、20歳代から 50歳代の人々は、9割以上が「毎日」会話をしている。所得別にみると、65 歳未満、65歳以上とも、所得が低いほど「毎日」会話をする人の割合は低くなっている。

■おおよそ7割から8割の人が、さまざまな支援を家族から受けているものの、一部の人は「頼れる人」がいない。
おおよそ7割から8割の人が、「看病や介護、子どもの世話」「健康、介護、育児に関する相談」「いざという時の少額のお金の援助」「災害時の手助け」について頼れる「家族・親族」がいると回答。他方で、「頼れる人がいない」という人も存在し、所得が低いほどその割合は高い。

■食料や衣服の困窮、家賃、その他債務の滞納の経験者は、前回(2007年)に比べ減少。
過去1年間で、家族が必要とする食料が買えなかった経験について、「よくあった」とする世帯は1.6%、また「ときどきあった」とする世帯は3.7%。なお食費、衣服費の困窮、家賃、その他債務の滞納経験の割合は、前回に比べ若干低くなっている。

■医療機関受診が出来なかった主な理由は、「行く時間が無かった」。
20 歳以上の人で過去1年間に必要な医療機関を受診できなかった経験があるとしている人の受診できなかった理由は、20~64歳では「病院や診療所に行く時間が無かった」が67.1 %と最も多く、次いで「公的医療保険に加入してはいたが、病院や診療所で医療費を支払うことができなかった」が15.3 %。65 歳以上では「病院や診療所に行く時間が無かった」が 33.2%と最も多く、次いで「通院が困難」が19.0 %となっている(その他を除く)。また、健康診断を受診しなかった人の理由としては、「必要があると思わない」が最も多かった。

■現在の暮らし向きは約4割が「やや苦しい」「大変苦しい」。特に、30~59 歳の無職男性は割合が高い。
現在の「暮らし向き」については、約半数の人は「普通」とする一方、「大変ゆとりがある」「ゆとりがある」は1割弱、約4割の人は「やや苦しい」または「大変苦しい」としている。特に 30~50 歳の無職の男性で苦しい(「やや苦しい」「大変苦しい」の合計)とした人の割合が高い傾向がある。

■東日本大震災の影響で10.4%が収入減少。一方、17.6%は「絆が深まった」。
東日本大震災の影響については、「家族や友人・知人との絆が強まった」が17.6%、「ボランティア活動を始めた」が 2.1%あった。一方で、「屋外活動の自粛など、生活面が変化した」が11.3%、「収入が減少した」が 10.4%、「医療機関受診を必要とするほどの心理的不安が高まった」が2.7%、「転職や失職をした」が 0.8%、と負の影響が日本全国に広がっている。

その他、詳しいリサーチ内容はネタ元へ
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[国立社会保障・人口問題研究所]
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